SLサミット

 2002年10月11日から14日にかけて、「第5回全国SLサミットIN会津」が福島県会津若松市で開かれた。この会津若松と新潟の間には春から秋まで「SLばんえつ物語号」が運転されている。期間中はサミット会議や特別版のSL列車運行、その他さまざまな地域イベントが行なわれている。

 全国SLサミットは、全国に散らばるSL運転線区の沿線自治体や関係団体、鉄道事業者らが一堂に会し、SL列車の魅力を全国に発信するとともに、SL列車を軸とする観光や地域活性化の方策、課題などについて相互に情報交換して、広域観光の振興に結びつけようとする主旨で開催される。このサミットの一大セレモニーとして、毎回、趣向を凝らしたSL列車の運転が行なわれることとなり、一般のレールファンや観光客を喜ばせている。

 第1回の開催は「第1回全国SLフェスティバル」として、1998年2月28日から3月1日にかけて、SL運転では老舗の大井川鐵道沿線で開かれた。大井川鐵道沿線4町による実行委員会が企画し、全国の関係者に参加を呼びかけたことから始まる。このときの参加者は約150人。このさいに開かれた交流会を「SLサミット」と呼んだことからやがて、この言葉が定着してゆく。

 ちなみに、そもそもサミットという言葉は、1975年にフランスで開催され、日本からは三木武夫首相が参加した第1回先進国首脳会議のさいに、通称として多用されたもの。以後、さまざまな分野の代表者会談などで一般的に用いられているようだ。

 以後は年ごとに第2回を「SLやまぐち号」沿線の島根県津和野町、第3回は「SLもおか」沿線の栃木県真岡市、第4回は「SLすずらん号」沿線の北海道沼田町で開催した。

 5回目となった「SLサミットIN会津」は会津若松市・磐越西線SL運行推進協議会・全国SLサミットIN会津実行委員会の主催で、推進協議会には磐越西線沿線の市町や商工会、観光協会など、実行委員会は会津若松市や観光商工団体、JR東日本仙台支社などが名を連ねた。また、国土交通省や福島県、JR東日本、県観光連盟、地元放送局や新聞社などが後援している。

 メインとなったサミット会議は、10月13日、会津若松市内のホール「會津風雅堂」で行なわれ、約100団体150人に一般参加者約950人という規模となった。作家‐椎名誠氏が基調講演をしたのち、全国SL定期運転地域の代表者によるパネルディスカッションが行なわれている。

 ここでは、SLの運転自体に新鮮さがなくなり、次第に乗客が減少してきていること、困難になっている機関車部品の調達、検修技術の継承、そのための要員養成、地方の鉄道運営自体のきびしさなど、多くの課題が浮き彫りにされた。また沿線の魅力アップのために市町村の一致協力、そのための駅の整備、SLファン以外への訴求、文化財の観点から運行に国の補助の手法を考えること、映画ロケなどの誘致、部品調達のネットワーク化などの施策や、今後に対する意見が出されている。

 このあと、映画「鉄道員」の出演者‐小林稔侍氏のトークショーが行なわれたのち、「20世紀の産業経済を支えたSLを動く文化遺産ととらえ、未来に語り継ぐとともに、今後の地域づくりを目的に末永く運行してゆくこと。そして運行路線では行政の枠を越えた関係者が一体になって広域振興を推進し、豊かな地域づくりをめざす」(要旨)との共同宣言を発表して閉幕した。

 なお、サミット期間中は磐越西線と只見線で3形式のSL列車運転が行なわれ、沿線でもさまざまなイベントが開かれるなど、大いににぎわいを見せている。

(2003年1月号)

 


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:36 JST