デジタルコンテンツ販売 †JR東日本は日本テレコムと共同で、2001年2月に渋谷・新宿・池袋駅に、マルチメディア端末を設置し、デジタルコンテンツの販売を開始する。デジタルコンテンツとは、パソコンなど専用機器を用いて処理される各種情報(デジタルデータ)のことであるが、とくにその内容に付加価値の高いものといったような意味になる。パソコン用のアプリケーションソフトウェアは使いやすさが評価の対象となるが、デジタルコンテンツは、その内容に評価が置かれる点が異なる。具体的には、音楽やゲームのほか案内地図・ニュースなどが該当するが、デジタルデータの形をとすることでその頒布や受け渡しを容易に行なうことができ、そのさいの品質の劣化がないといった長所がある。 しかし、これまでのところ、デジタルコンテンツも一般の商品と同じように、CD-ROMやDVDなどに記録されたパッケージ商品として店頭に並んでいる。なかにはインターネットなどを経由して直接購入できる方式のものもあるが、パッケージ商品は配送コストや在庫リスクを抱え、インターネットにおいては、シングル1曲をダウンロードするのにISDN回線でも約30分かかるという通信速度の遅さ、それに代金の支払い手段に課題がある。 そこで集客性が高く、超高速ネットワークの環境が整いつつあるJR東日本の駅に、ネットワークで結ばれた自動販売機タイプのマルチメディア端末を設置し、大容量のデータを短時間に取得できるようにし、さらに決済のわずらわしさを取り除くように図ったのが今回の取組みである。 JR東日本と日本テレコムが始める今回の事業では、MDへの音楽データのダウンロード(記録)、携帯電話の着信メロディや待ち受け画面のダウンロードを中心に展開する。全体のシステムは、日本テレコムがコンテンツ配信センターを、ジェイアール東日本情報システムがマルチメディア端末センターとネットワーク、マルチメディア端末を構築し、駅間のネットワークには日本テレコムの光ファイバー通信回線網を使用する。利用客が扱うマルチメディア端末の運営は、ジェイアール東日本情報システムが行なう。これにより、コンテンツ販売事業者は配送コストや在庫リスクを負うことなく、ネットワークを介してコンテンツの販売・更新を行なうことができ、さらに利用者は通勤通学の合間や列車の待ち時間に、市中にある自動販売機と同じ感覚でコンテンツを購入できる。 駅構内におけるデジタルコンテンツ販売事業は、JR西日本でも試みられた。同社の「駅構内デジタルコンテンツ販売事業」が通産省の公募事業に採択されたことを受けて、1999年9月1日〜12月26日に実証実験を大阪・京都など5駅で、今回のJR東日本の場合と同じように、マルチメディア端末を設置して実施した。現在は今後の展開に向けて検討を進めているが、コンテンツの販売自体は、実験結果をもとにホームページ上でのダウンロード販売に切り替わっている。 (2001年1月号) |