ニューフロンティア21

 JR東日本は昨2000年11月29日に、2001年から2005年までのグループ中期経営構想「ニューフロンティア21」を策定したと発表した。背景には、少子・高齢化のさらなる進展、グローバル市場経済の浸透、消費者主導のきびしい競争、IT革命に代表される技術革新の進行などの「今後のグループを取り巻く経営環境の変化」と、「国際標準に基づいた連結決算中心の時代の到来」、「国鉄改革の最終目標である完全民営化が目前に迫っている」ことをあげている。

 結束力を強めるためにグループ理念を初めて定め、「JR東日本グループは、鉄道事業を軸として、健全経営のもと、良質で時代の先端を行くサービスを提供する企業グループをめざす」とうたっている。

 そのため、(1) 「ステーションルネッサンス」の展開、(2) ITをはじめとする新技術の導入活用、(3) 「世界一の鉄道」への挑戦、(4) お客様との密接な生活ネットワーク創造、(5) 環境経営の推進―を掲げる。

ステーションルネッサンス

 ステーションルネッサンスは、駅という最大の経営資源を活用、乗降人員が20万人以上の首都圏の駅を中心に、人工地盤を建設するなど、新たな商業スペースを創出する。上野駅では面積6,000平方mの大規模シヨッピングセンターを2001年度冬にオープンする。目黒・品川・新宿(南口)では大規模開発を進める。東京駅の開発も検討する。また、駅をネット時代の情報拠点に位置づけ、東京駅の「メディアコート」をモデルにして情報発信施設を展開する。物販・飲食・旅行商品販売では、現状の各種事業を総合的に融合させる。また、地元自治体などと連携して地域のコミュニティセンターとしての駅づくりを進める。

 ITはじめ新技術の活用では、新たな鉄道システム「e@train」として、情報通信技術とモバイルネットワーク技術を広範な分野に導入し、安全・正確性の向上とともに、多様化するニーズに応じる。ITビジネスについては、ICカードシステム「Suica」において新幹線や首都圏外への拡大、他鉄道会社との共通化を推進する。また、電子マネー機能の付加などを実施するほか、携帯電話に「Suica」のICチップを搭載して、人手を介さない出改札を実現し、さまざまなコンテンツを携帯電話経由で提供する。

世界一の鉄道

 世界一の鉄道への挑戦では、重大事故の防止を重点的に実施するとともに、ATOSの導入を首都圏で拡大し、輸送障害時に迅速で的確な対応ができる体制を整備する。サービス面では、駅のサービスマネージャーを現在の52名からまず100人に増強する。高齢化社会に対応して、2001年度末までに東京50km圏内の8割、東京23区内全駅にエスカレータを設置する。新たなネットワーク形成のためには、2002年度に臨海副都心線と埼京線の相互直通運転を開始するほか、2004年度の池袋駅構内立体交差化完成にあわせて大宮〜新宿〜横浜直通ルートを整備する。宇都宮線などの東京駅乗入れも必要な検討を行なう。

 首都圏の混雑緩和と着席サービスの拡大のためには、山手線はじめ新型車両の投入、運行システム改良による増発を実施し、2005年度までにピーク時の混雑率を180%台にする。「成田エクスプレス」の増発やライナーの拡大を図る。ITを活用したコストダウンも進め、メンテナンス費用を2005年度までに約2,000億円(2000年度は2,260億円)に縮減する。

 生活サービス事業では、グループ外企業とのM&A、業務提携を進めるとともに、グループ会社の再編成を実施する。不採算部門からは迅速に撤退する。駅ビル事業は生活密着型を重点とし、今後3年間で10ヵ所程度開業する。ホテル事業ではホテルメッツを今後5年間で10ヵ所程度開業する。

 環境経営の推進では、省エネ車両の積極導入、自営火力発電所の高効率設備への取替え、駅周辺駐車場の整備拡大やレンタカー利用促進、ゼロエミッション対策の推進などを強化する。また2005年度までにCO2の総排出量について、1990年度比20%以上削減することを数値目標とする。

(2001年5月号)


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:43 JST