パスネット

 関東地区の民鉄17社・局が参加し、1枚のカードをもつことにより、そのつど切符を買わずに複数の鉄道に乗り降りできる共通乗車カードシステムが、2000年10月14日にスタートした「パスネット」である。

 自動改札機に直接カードを投入することで運賃額を差し引いてゆく仕組をストアードフェア(SF)システムといい、首都圏の民鉄では1991年11月に営団地下鉄が南北線駒込−赤羽岩淵間開業時に試行的に導入し、1996年3月に営団全線に拡大するとともに都営地下鉄も導入して共通化を図った。以後、関東地区全体を包括する共通化が検討され、今回の実現に至っている。

 パスネットに先駆けて、関西圏では1994年に阪急電鉄と能勢電鉄がSFカードの共通化を図り、1996年に5社・局で共通化したさいにシステムの名称を「スルッとKANSAI」と命名、現在では32社・局の鉄道・軌道・バスを利用できる。また、1999年には西日本鉄道の電車・バス、福岡市営地下鉄がカードを共通化して「よかネットカード」を開始した。

 SFシステムは、利用者にとっては乗車のつど運賃を確認したり、行列するなどの切符を買う手間、乗り越し精算の手間がなくなる。さらに、それを複数会社間で共通化すると、日常的には利用しない不慣れな駅や鉄道でも同様に利用することができ、不安や負担感がより一層軽減されるなど効果は大きくなる。

 鉄道会社にとっては、初期投資は大きいものの、オンライン化により収入金管理の効率化や旅客流動データの迅速で確実な収集ができ、業務を簡素化・効率化できる。

 この導入の最大の背景には、マイカーの浸透や少子化などで鉄道はじめ公共交通の利用が年々減少するという、これまでにない厳しい状況があり、各社単独ではなく共同で利便性を向上させ、利用の維持を図らなければならないことがあげられる。その答の一つとしたのがカードの相互乗入れといえる共通乗車カードで、事業者間の壁を払い数社・局を一つの交通機関として利用できる感覚をめざしたのである。

 入出場の過程では、入場時にその鉄道の初乗り運賃が前引きされ、出場時に利用区間全体の運賃と初乗り運賃との差額が差し引かれる。途中出場しないで複数の会社にまたがる経路を利用する場合、合計4社まで利用できる。また、同一会社でも改札外で乗換えとなる場合は、30分以内に乗り換えると運賃が通算される。入場時にカード残額が初乗り運賃に満たない場合は、券売機で切符に引き換える必要があり、出場時に残額不足の場合は自動精算機での精算となる。

 今回の「パスネット」化にともない、すでにSFシステムを導入していた営団・東京都・新京成電鉄・横浜市・ゆりかもめ・多摩都市モノレール以外は新たなSFシステムの導入であり、また、京王電鉄・京成電鉄・東京急行電鉄・東京臨海高速鉄道・東葉高速鉄道・北総開発鉄道・横浜高速鉄道はプリペイドカード自体の導入も今回からとなった。なお、京浜急行電鉄は独自のSFシステムを導入しており、「パスネット」とは互換性がないため今回の一斉導入では参加しなかったが、早期参入の要望が非常に強いため、機器更新を当初予定の2001年度以降から繰り上げ、2000年12月20日から「パスネット」に参加することになった。埼玉高速鉄道、それに舞浜リゾートラインが開業時に参加すると、合計20社・局の規模となる。

(2001年1月号)


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:44 JST