ブルネル賞 †世界の鉄道におけるすぐれたデザインを競う「2001ブルネル賞国際デザインコンペティション」で、JR九州の885系特急電車が長距離列車部門、815系近郊形電車が近距離列車部門の最優秀賞、JR西日本の京都駅が新築大駅部門の奨励賞を受賞した。 ブルネル賞(Brunel Award)は、世界20ヵ国の鉄道の建築家・デザイナーが集まったワトフォード・グループが設けている賞で、世界で唯一の鉄道デザイン国際コンペとなっている。鉄道関連のすべての分野において最近完成、あるいは近代化改良された優秀な建築やデザインの成果について顕彰し、公共輸送機関の経営陣や地方公共団体の目を「よいデザインは、よいビジネスである」という事実に向けさせることを目的としている。 1985年にイギリス国鉄がグレート・ウェスタン鉄道創立150周年を記念した行事を行なったさい、ヨーロッパの12の鉄道の建築・デザイン担当者がロンドン郊外のワトフォードに集まり、ワトフォード・グループが結成され、記念行事の一環として鉄道デザインの国際コンペを行なったことが最初となった。賞の名称は、グレート・ウェスタン鉄道の初代技師長で、すぐれた駅舎や土木建造物、船舶などを残したイザムバード・キングダム・ブルネルにちなむ。 ブルネル賞コンペは、2〜3年おきに開催される。日本の初参加は1989年の第3回で、JR東日本が「世界鉄道デザイン会議」を主催したことがきっかけとなった。JR東日本の「駅からマップ」がグラフィックデザイン部門で最優秀賞、ほかに旅客車部門でJR東日本の651系電車「スーパーひたち」、土木技術部門でJR西日本の「保津川5橋」、その他建造物部門で新橋駅チップ制トイレ「パウザ・ディ・クロマ」が奨励賞、JR東日本の「とうきょうエキコン」「東京ステーションギャラリー」が駅のモダンアート部門で審査員特別推薦を受賞している。 1992年の第4回以降では近距離列車部門でJR東日本の253系「成田エクスプレス」、JR西日本の281系「はるか」、長距離列車部門でJR九州787系「つばめ」、同883系「ソニック」が最優秀賞を受賞している。また奨励賞には、JR北海道の新千歳空港駅、近鉄「伊勢志摩ライナー」、JR東日本209系・E217系、JR九州つばめレディユニフォームなどがあげられる。 今回は8回目でフランスのアビニョンで開催され、各国から215点の応募があり、日本からの応募作品で受賞したのは前掲のとおり。これにより、JR九州の新型特急電車は3代連続の最優秀賞受賞となった。 また、今回の他国の事例では、新築大駅部門でTGV地中海新線のアビニョンTGV駅(フランス)、土木技術部門でデンマークとスウェーデンを結ぶ新線にあるエーレスン橋(デンマーク)などが最優秀賞に、デンマークの首都がある島を大陸部と地続きにした大ベルト橋(デンマーク)、ローカル列車のサービス向上のため多様な機能を盛り込んで改造したイノベーショントレイン(ドイツ)などが奨励賞に選ばれている。 (2001年10月号) |