ホリデー快速

 JR東日本が土休日の行楽需要にあわせて首都圏で運転している臨時快速電車の総称である。JR東日本は1988年から首都圏で「小さな旅」キャンペーンを開始した。それ以前の旅行は、準備をととのえ遠くへ出向くことが主流だったが、「安・近・短」のニーズの高まりに対して、気軽に日帰りで身近な場所に出かけてもらおうとプロデュースされた。ホリデー快速は、これにあわせて1989年の秋から運転を開始した。1991年からは東京中心60〜80km圏を対象にしたフリー切符「ホリデー・パス」も誕生しており、密接にリンクする。

 当時、例えば埼玉県方面から鎌倉へ出かける場合、通常は何度かの乗換えが必要になるが、この面倒を解消するため直通運転を行なったことが大きな特徴である。千葉方面から青梅・五日市線へ、大宮方面から中央本線・富士急行線方面へ直通するものなども登場した。波動輸送用車両が使われることもあり、旅行気分を高揚するクロスシート車が多いことも特徴といえようか。今秋は次の列車が運転されている。

  • 中央本線・富士急行線方面…勝沼周辺の果樹園や昇仙峡方面、あるいは富士急行線に乗り入れて富士五湖方面に向かうコースは一つの定番といえる。ノーマルな経路の「ホリデー快速ピクニック号」は千葉・新宿〜甲府・河口湖間。2階建て215系を使う「同ビューやまなし号」は新宿〜小淵沢間、東北貨物線・武蔵野線経由で大宮〜河口湖間を結ぶ「同河口湖号」もある。
  • 青梅・五日市線方面…国鉄時代から奥多摩や秋川に向けた愛称つき特別快速もホリデー快速の一員として知られる。「ホリデー快速おくたま」が新宿〜奥多摩間、「同あきがわ」が新宿〜武蔵五日市間。
  • 日光方面…通常は八王子・府中本町と大宮を武蔵野線経由で結ぶ「むさしの号」(もと新幹線リレー号)のうち土休日の1往復を日光へ延長し、「ホリデー快速日光号」としていたが、今秋から要望に応えて平塚発着の「ホリデー快速湘南日光号」とした。
  • 舞浜方面…宇都宮から東北貨物・武蔵野・京葉線経由で東京まで、「ホリデー快速ベイドリームMAIHAMA」が運転されている。
  • 鎌倉方面…大宮から武蔵野線経由で鎌倉へ向かうのは「ホリデー快速鎌倉号」。湘南新宿ラインの誕生で2002年春は運転されなかったが、武蔵野線沿線の需要を満たすために復活している。伊勢崎や取手から山手貨物線経由で運転された列車も以前はあったが、今秋はない。利用動向によって、設定の有無がよく変化するのは、やはり臨時列車としての性格が表われている。

 また、運転日がより限られるため「ホリデー快速」とは名乗らないものの、南武線から青梅線に直通する「立川〜奥多摩ハイキング号」や、上野〜黒磯間の「快速那須ハイク号」も同じ目的の列車といえよう。

 このような休日の日帰りレジャーを目的とした列車は東京圏だけではなく、例えば近畿圏においても「○○ホリデー号」と称する列車を運転してきた。一時期、比較的長距離を走る列車の指定席利用をアピールするため、指定席連結列車をそのまま「○○ホリデー号」、より気軽な全車自由席の列車を「○○レジャー号」として区別した。ただし、指定席利用はあまり多くなかったことから、最近では「レジャー号」のみになっており、さらにシーズンごとに人気のある列車に絞って運転しているという。この結果、ほぼ通年で運転されるのは「赤穂レジャー号」のみ、その他の代表例として「山の辺の道レジャー号」は春と秋に運転する。

(2003年1月号)

 


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:47 JST