モーダルシフト実証実験

 東京〜大阪間の物流は、人と同様に日本で最も多い区間であるが、そのほとんどはトラック輸送が占める。鉄道が使われなかった理由は、トラック運賃の低廉さとともに、ドアツードアの到達時間に問題があったためである。ことに時間的制約の厳しい宅配便輸送では、トラックの約6時間に対して鉄道貨物の最速6時間40分では、積み卸しやフィーダー輸送を加算すると勝負できなかったのである。

 しかし、2001年に京都で開かれた環境サミット以後は地球温暖化防止が重要な課題となり、その具体策の一つとして2001年7月、政府閣議で「新総合物流大綱」が決定された。ここでは500kmを超える輸送において鉄道・海運のシェアを現在の40%程度から50%以上とする目標が掲げられ、モーダルシフトmodalshift:トラックによる幹線貨物輸送を海運または鉄道に転換すること)の推進がより強く求められたのである。東京〜大阪間でも鉄道輸送にシフトさせる策が望まれ、その結果として生まれたのが先ごろ公開されたスーパーレールカーゴである。加減速に優れた電車方式として、両拠点間を6時間に収めることとした。

 これをあと押ししたのが、国土交通省が2002年度に制定した「幹線物流の環境負荷低減のための実証実験」制度による補助である。現実問題として、モーダルシフトは理想どおりには進展していない。荷主に営業上の大きなメリット(具体的にはコスト削減)がなければ、あえてモードを切り替えようとの意志は働かないのである。そこで今回、個々の施策に対する補助制度が初めて設けられた。

 すなわち、事業者が輸送モードを転換する貨物や輸送区間を具体的に明示して申請し、有効なものに国が補助金を出して経費の一部を負担する仕組である。助成額は1件につき実験費用全体の1/3で、最大1億円、期間は最長2年とされた。2002年5〜7月に応募のあった30件から、補助金100万円あたりのCO2(二酸化炭素)排出削減量が多いもの順に選定され、9月に14件が認定された。このうち、補助対象事業は8件、削減効果は高いと認定するが補助金枠の関係で補助金はない補助対象外事業は6件となった。

 補助金100万円あたりのCO2 排出削減量が最大のものは徳山港から名古屋への輸送を既存の船舶やトラックからエコシップに切り替えるもの(荷主=トクヤマ/物流事業者=近畿運輸倉庫、愛徳)で、その削減量は1,947鼎箸気譟∧篏金は1,000万円。一方、補助額が1億円と最大となったのは東京〜大阪間の特積み(特別積み合わせ事業:集配と運送の一貫提供によって不特定の荷物を効率的に運送する事業)コンテナを鉄道輸送とするスーパーレールカーゴで、荷主は佐川急便、物流事業者はJR貨物と東日本運輸興業。CO2 削減量は補助対象事業中3番目の684鼎任△襦このほか、鉄道へのモーダルシフトで補助対象事業になったものに、小樽〜船橋間(一部フェリー)での31フィート特積みコンテナ輸送を切り替えるもの(北海道西濃運輸/JR貨物)がある。

 なお、同制度は2003年度はTDM(交通需要マネジメント)全般の予算枠から物流関係単独の予算枠に移され、「環境負荷の小さい物流体系をめざす実証実験」と改称、補助の範囲をモーダルシフトにさいしてかかる初期投資のみに限定するなど、内容を若干変化させて継続している。

(2003年8月号)

 


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:49 JST