リアル・ジャパン・キャンペーン †2001年3月26日に開催された「リアルジャパンサミット」を初日として、2002年度末までの2年間、「リアル・ジャパン・キャンペーン」が展開されている。このキャンペーンは、長期的な景気停滞や、海外旅行や屋内レジャーに対する相対的な魅力の低下などから伸び悩んでいる国内観光の需要拡大を目的として、全国の地方公共団体や観光関係団体、企業等が、国内観光に関する魅力のPRと質的向上に取り組むもの。全国規模で消費者の国内観光に対する関心を高めることになった今回のキャンペーンは、日本の観光史上でも初めてのこと。リアル・ジャパン・キャンペーン実行委員会が主催し、国土交通省・総務省が後援、実行委員会の会長に堤義明(財)日本観光開発研究センター会長が就き、事務局を(社)日本観光協会に置いている。 キャンペーンのコンセプトを「日本の多彩な魅力を自分なりに味わって感動する旅」とし、(1)バーチャルな刺激が氾濫する時代だからこそ自分の五感で本物(real)に触れて感動すること、(2)手ごろな値段で心に残る(real)国内旅行を実現すること、(3)訪れるお客様に地域が一体となって心から(real)のおもてなしを提供すること、(4)日常では経験できない「夢」「希望」を実現(realize)することが、意味するところとなる。 キャンペーンの基本方針としては、消費者に対するPRと、観光関係者によるレベルアップ運動の2つの柱がある。消費者へのPRは、地域と観光産業関係者が一体となって消費者の目を国内観光に向けさせる全国的なムーブメントを作り出し、そのムーブメントと地方公共団体や観光関連企業・団体が行なう個別のキャンペーンを、全国共通ポスターの掲出や統一スローガンの使用などにより連携させて全国規模に裾野を広げるとともに、観光地や旅行商品の質的改善運動によって国内観光が変わってゆくことをアピールする。 一方、観光関係者によるレベルアップ運動は、地方公共団体等がその地域の自然や歴史・生活文化などに根づいた特徴ある観光資源を発掘したり、観光関連企業・団体が旅行商品の質的向上やサービスのレベルアップに取り組むなど。その結果として生まれた新しい観光資源や旅行商品・サービスに「リアル・ジャパン」のロゴマークをつけて宣伝し、消費者の信頼感や期待感を醸成してゆく。 キャンペーンの開始とともに掲出されたポスターには、浮世絵師歌川国芳作の「金魚づくし」をもとにして、日本人の好む愛玩動物である金魚が描かれ、狭い金魚鉢から抜け出して旅に出かける姿を、旅を象徴する図柄として採用した。同年10月には、キャラクターの金魚のほか、古都京都の風景も含めた第2弾のポスターを作成している。同時期からJR東日本の「めぐり姫」などをリアル・ジャパン商品として統一ロゴなどを掲出したほか、旅行会社との共同商品として、これまで地味な存在だった小野川温泉(山形県)を売り出している。 また、地元以外にはあまり知られていない観光地を掘り起こしてPRするため、地元側と旅行業界関係者が一堂に会して資源開発を行なう「旅行商品化支援懇談会」をスタートさせ、全国を8ブロックに分けて、11月の東北ブロック(仙台で実施)を皮切りに、2002年1月の沖縄、2月の中国ブロック(広島)と立て続けに実施しているところである。 (2002年3月号) |