駅百選 †現在、「関東の駅百選」をはじめとする「○○の駅百選」には、他に東北・中部・近畿がある。 そもそもこの駅百選は、1994年に運輸省(当時)が定めた10月14日「鉄道の日」の記念イベントとして、運輸省の地方組織である関東運輸局が1997年からスタートさせた。この年から、関東の駅百選選考委員会を編成し、「あなたの自慢の駅を教えて下さい」をキャッチフレーズに管内(東京・神奈川・埼玉・群馬・千葉・茨城・栃木・山梨)の鉄・軌道線の駅の中から特徴ある駅を一般公募し、その集計結果を参考に選考委員会が毎年ほぼ25駅ずつ、4年間で計100駅を選定したものである。公募にあたって親しみのある駅や、歴史のある駅、外観がユニークな駅などが例示されているが、特段の制約条件があるわけではない。身近な鉄道に改めて目を向けてもらい、親しんでもらおうとの目的である。 これにならって、1999年には中部運輸局が「中部の駅百選」の選定を、向こう4年間にわたって開始した。中部の駅では、駅舎の保存価値が高く記念碑や名所旧跡がある駅、近代的な駅施設で便利で人にやさしい駅、図書館等の公共的施設を備えた多目的な駅…など例示も具体的になったが、ほのぼのとした雰囲気で風情のある駅、その他特色のある駅…との項目もあり、実際はやはり特段の条件を付けたわけではない。ケーブルカーやロープウェイの駅も織り込まれたことが一つの特徴であろうか。 さらに2000年から4年間で近畿運輸局による「近畿の駅百選」が続いた。やはり一般公募を中心とし、これは2003年度の今年に最後の25駅が選ばれ、100駅が出そろう。 一方、2002年には東北運輸局が「東北の駅百選」を選定しているが、こちらは鉄道事業者の自薦をベースに選考委員会が選定しており、また100駅を一気に決定したことなど、前三者とは若干色合いが異なっているようである。 ところで、これらが展開されている最中の2000年度に行政改革の一環として地方運輸局の管轄区域見直しが行なわれ、秋田・山形県が新潟運輸局から東北運輸局に、富山・石川県が中部運輸局から新潟運輸局改め北陸信越運輸局の管轄に移管された。しかし、ひとあし先にスタートした「中部の駅百選」は、もとの中部運輸局の範囲で継続されることになり、北陸地方は3県とも含まれている。この一方、「東北の駅百選」は組織改変後の選定であるため秋田・山形県を含むこととなった。 この結果、もと新潟運輸局管内は両側から百選駅対象エリアが切り取られ、「北陸信越の駅百選」とすることもままならず、長野県と新潟県はどの対象からも外れてしまった。 (2003年8月号)
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