降雨運転規制

 JR東日本は12月1日、これまで一定基準値を超えた降雨時に実施していた東北・上越新幹線の運転中止を解消した。運転中止の規制があったのは東北新幹線郡山〜古川間、くりこま高原〜水沢江刺間の計217.4kmと、上越新幹線越後湯沢〜長岡間62.6km。この区間で降雨防災対策工事が完了したため、時雨量が50〜60mm、または24時間雨量が180〜220mmを超えた場合に運転中止としていたものを、70km/h徐行運転とした。これでJR東日本のフル規格各新幹線では、降雨による運転中止は原則としてなくなった。

 JR東日本には、新在直通運転区間である山形・秋田両新幹線を含めると5路線の新幹線がある。フル規格新幹線は東北新幹線の八戸延伸により計980kmとなったが、このうち橋梁・高架橋区間は565kmで57.7%、トンネル区間は353kmで36%、土工区間は62kmで6.3%となっている。東北・上越新幹線は高架橋が多用され、土工区間は東北新幹線で6%、上越新幹線では1%と少ないのに対して、建設費抑制の目的と、土路盤用スラブ軌道の開発によって、長野新幹線では16%、東北新幹線盛岡〜八戸間は13%と比率が増しているのが特徴である。

 土工区間の場合、とくにトンネル出入口付近では斜面や法面が線路に近接し、多量の降雨の場合は土砂崩れなどの危険回避と予防のため、運転規制が敷かれている。新幹線の場合、国鉄当時からの基準に基づき時雨量(1時間あたり雨量)と24時間雨量の組合せ(場所により各数値は異なる)により160km/hと70km/hの速度規制、および運転中止の措置がとられていた。

 この規制による列車の遅れや運休をなくすために行なわれるのが降雨防災強化工事で、2001年度から実施してきた。おもな内容は、法面を強化するための形枠の設置、排水工、斜面からの土砂流入を防ぐための土砂止め壁の設置などで、個所によっては格子枠の交点にロックボルトを埋め込んで地山との結合を強化する。

 長野新幹線では2002年の梅雨を控えた5月までの間に42ヵ所を施工し、ひとあし早く6月から降雨による運転中止をなくした。

 東北・上越新幹線の場合、高架橋が中心であるため運転中止回数は長野新幹線より少ない。しかし、トンネル出入口付近は土工区間となるため、このすべてにおいて法面防護工を施工してきた。この結果、今回のダイヤ改正を機に降雨による運転中止をなくし、速度規制基準値も引き上げられたのである。盛岡〜八戸間は建設時から対策が施されている。

 一方、山形・秋田新幹線は在来線であるため、土工区間が90%近くを占め、さらに山岳区間は地形が急峻である。したがって、降雨による運転中止は年4回前後と、フル規格新幹線区間の0.1(上越)〜1.9(長野)回に対して多かった。なお、在来線の運転規制は時雨量と連続雨量(12時間以上の中断をともなわずに、その時刻まで継続した期間の降雨量の合計)の組合せによる。

 このため、長野新幹線とほぼ同様の防護工を施工してきたが、山形新幹線では148ヵ所に及んだ。ただ、地形条件からすべての斜面・法面を防護することは困難で、優先度の高い個所からの実施となった。この結果、長野新幹線と同様、2002年6月から基準を緩和することとなったが、平坦区間の運転中止規制はなくしたものの、山岳区間は運転中止も残している。それでも運転中止は年1回程度に減ると見られる。秋田新幹線については、山形新幹線と同様の工事を現在も続けており、2003年6月には完了する予定となっている。

(2003年2月号)

 


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:55 JST