国土交通省

 2001年1月6日、行政改革の一環として中央省庁が従来の1府22省庁から1府12省庁に再編され、新体制がスタートした。これにより運輸省・建設省・国土庁・北海道開発庁の2省2庁が統合され、国土交通省(英文表記:Ministry of Land, Infrastructure and Transport)が発足した。初代の国土交通大臣には、扇千景前建設・運輸大臣兼国土・北海道開発庁長官(それ以前は建設大臣)が就任した。

 今回の省庁再編は戦後の内務省解体、陸・海軍両省の廃止いらい半世紀ぶりの大改革といわれ、これを契機に縦割り行政を見直し、横断的な政策課題に対応できるシステムを作ることをめざしている。なかでも2府2庁を吸収して発足した国土交通省は最大の統合で、中央省庁随一のマンモス行政機関となった。本省内の内部部局は、大臣官房、総合政策局、国土計画局、土地・水資源局、都市・地域整備局、河川局、道路局、住宅局、鉄道局、自動車交通局、海事局、港湾局、航空局、北海道局、政策統括官が置かれている。

 従来の運輸省は、水陸空の運輸、気象などに関して管轄し、一方の建設省は国土計画・都市計画・河川運河・道路・住宅などを管轄していた。本来、輸送機関は社会資本として国土計画や都市計画のなかに位置づけられるべきもので、また、道路・鉄道・航空・船舶は密接に関係しているにもかかわらず、これまでは必ずしも連携がとれておらず、両者にまたがる事項は予算措置や手続きを煩雑にするなどの弊害もクローズアップされていた。また、これまでの公共交通に関するインフラ整備投資は右肩上がりで進められてきたが、最近は重点的で効率的な投資配分が求められ、少子高齢化などの影響で財源の確保も困難になりつつある。一方で道路整備も一貫して拡大方向に進み自動車交通のシェアを飛躍的に伸ばしたが、渋滞などによる都市機能の低下や環境問題、地方過疎地域の公共交通の衰退など深刻な状況を生んでいる。いずれも大きな転換点に差しかかっており、ここに横断的な政策が必要になった。

 統合によって実現する運輸行政と建設行政の連携のメリットを最大限に生かし、コストダウンを図りつつ無駄のない一体的な取組みをスピーディに展開し、より質を高めた行政サービスを提供することとし、この観点から、全国計画から地方計画・都市計画までを体系化し基幹交通網から居住環境整備までバランスのとれた国土整備、陸海空の交通施設・交通サービスのハード・ソフト両面の総合的な体系整備、費用対効果分析を含む事業評価など社会資本の整合的かつ効率的な整備を進めてゆく。

 交通運輸分野における連携による主要なテーマとしては、自動車に依存しすぎた都市の改造と公共交通の利便性改善、ITを活用した新たな交通社会の実現、自動車税制のグリーン化など戦略的な環境問題への取組み、少子高齢化社会に対応した交通の構築、交通の安全と事故発生後の対策の拡充、交通インフラの重点的・効率的整備と有効活用――などをあげている。

 ただし、これら融合を図ろうと掲げている施策の一方で、土壌や歴史的過程が異なる運輸・建設両省では、大きな行政手法が異なる部分もあり、一つの組織として融和するまでには相応の時間がかかるとの見方も強い。

(2001年4月号)


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:56 JST