太陽光発電 †エネルギーはあらゆる産業・経済・社会活動にかかわってくる生活に不可欠な要素であり、自然からそのまま得られる石炭・石油・天然ガスなどの化石燃料、および水力・原子力・太陽熱・地熱などの一次エネルギーと、電力・都市ガスなどエネルギー変換を経た二次エネルギーに大別される。日本では昭和30〜40年代に石炭から石油へのエネルギー転換が図られ、現在の石油依存度は全体の過半を上回り、石炭・天然ガス・原子力の10%台(水力は4%)を大きく引き離している。しかし、石油は限りある資源であり、しかも日本の場合はほぼすべてを輸入に依存していること、また、温室効果ガスの発生を抑える地球規模の要請からも、代替エネルギーの割合を高めることが課題となっている。 過去二度のオイルショックに見舞われたころ、このような考えから通産省(現経済産業省)の外郭団体として1980年に「新エネルギー総合開発機構」が発足した。その後、発展のために必要な産業技術開発を総合・計画的に進めるために「新エネルギー・産業技術総合開発機構」に改められ、NEDOの愛称のもとに現在に至っている。 NEDO †このNEDOが、開発・利用促進の研究と普及を進めている代表的なものの一つに太陽光発電システムがある。これが近年、駅に設置されて話題にのぼるケースが散見されるようになってきた。 太陽光発電は、光を受けると直流電流を発生する半導体素子(太陽電池)を利用した発電方式で、システムが単純なため保守が容易、無公害、需要地で規模に応じた発電ができるなどの特質をもっている。ただ現在のところ、設置には国からの助成などがあるものの普及には一層のコストダウンが必要であることと、鉄道においては列車を動かすほどの大電力を常時生み出すほどの能力は持ち合わせていない。そのため、新しいエネルギー発生装置として注目はされているものの、その使用範囲は鉄道に限っていえば駅や車庫など、建築施設内での利用となっているようだ。 NEDOとの共同研究として行なっているフィールドテストは、鉄道では1992年度以降、次の各所があげられる。 まず、JR東日本の東北・上越新幹線東京駅延伸の翌年(1992年)に、東京駅ホームの屋根に出力30kWのものが設置された。その後、1997年にJR東海が東海道新幹線京都駅のホーム屋根に100kWの大容量のものを設置した。続いて1999年にJR西日本も網干電車区に100kW、JR東日本は研修センターに30kW、名古屋ガイドウェイバスが管理センターに20kW、近畿日本鉄道も商業ビルに10kWのものをそれぞれ設置した。設置個所は年とともに次第に増えており、1999年度までに全国で総数約350ヵ所を数えるが、2000年度も従来にくらべればハイピッチで設置が続いた。 JR東日本は上越新幹線高崎駅に100kWのもの、京王電鉄は若葉台駅・明大前駅・高幡不動検車区に30〜60kWのものを設置、このほか阪急電鉄と名古屋市営地下鉄でも10kWのものを設置した。 ちなみに30kWの装置では日中、10人乗り程度のエレベータで2台ぶん、自動券売機で40台ぶん、自動改札機で30台ぶん、40W蛍光灯ならば750本ぶんの電力をまかなえるそうである。 (2001年9月号) |