中部国際空港

 中部国際空港は、2005年2月17日の開港をめざして愛知県常滑市沖の伊勢湾海上に建設されている新空港である。名古屋都心から約40kmの位置にあり、知多半島の本土とは1km強ほど離れている。

 これまでの名古屋空港は名古屋市の北、西春日井郡豊山町にあり、小牧市にも近い(敷地の一画は小牧市にもかかる)ため、小牧空港とも呼ばれる。しかし滑走路を航空自衛隊と共用し、旅客数および航空貨物取扱い量、とくにどちらも国際線需要が顕著に伸びている反面、周囲は市街地化が進んでいるため、拡張も早朝深夜の飛行もできず、限界に迫っていた。このため、将来的にも拡張性をもった新空港が考えられるようになったのである。

 新空港の建設にさいしては、1989年3月、愛知・岐阜・三重の3県と名古屋市の首長の間で、候補地を「伊勢湾東部の海上」(常滑沖)とすることに合意した。その後、1995年8月に第7次空港整備5ヵ年計画中間とりまとめにさいし国際ハブ空港として事業を推進することが盛り込まれ、1998年度予算で新規事業化が認められた。それを受けて1998年3月に同空港の設置および管理に関する法律が施行され、新空港は第一種空港と位置付けられた。

 ちなみに、第一種空港とは空港整備法における「国際拠点空港」の位置付けであり、現在は、東京国際(羽田)・新東京国際(成田)・大阪国際・関西国際とあわせて5空港が該当する。また、第二種空港は国内主要空港の位置付けで全国25空港があり、名古屋空港も含まれる。第三種空港は地方公共団体が設置する地方空港や離島空港で、計52空港がある。(他に計画中の3空港がある)

 1998年5月、事業主体となる中部国際空港(株)が設立され、2000年6月に現地の空港島造成(埋立て)の着工となった。

 中部国際空港は、需要が急増している名古屋空港の機能を移すものであるが、とくに製造業が活発な中部圏に位置することによる有効な活用が期待されている。このような産業立地で、名古屋都心まで30分程度、さらに日本の中央部であることの利を活かし、国内線と国際線を接続させて、24時間運用が可能な空港として3つめの日本の玄関とする。

 空港島は、南北最大約4.3km、東西最大約1.9kmで、面積約580haである。島は空港そのものと地域開発用地に分かれ、473haを空港が占める。滑走路は3,500mのものが1本設けられる。ターミナルビルは上下階の移動をなるべく少なくする設計で、コンパクトでわかりやすさを旨としている。

 中部国際空港は、世界一着陸料が高いとされる成田空港や、経費が大きくきわめて巨額の赤字を抱える関西空港の事例に鑑みて、建設時から徹底的にコストを抑制したうえで効率的な運営形態をとることを必須とした。このため、成田空港の公団形式(本年4月に株式会社化)、関西空港の上下一体型株式会社形式に対して、インフラの空港整備を受け持つ公的法人と上物を管理・運営する民営法人に分ける上下分離型としている。このコスト削減により、成田・関西よりも割安な着陸料の決定をみた。また、収益性を高めるため、空港とは直接関係しないレジャー・ショッピングなどのアミューズメント施設を設ける。

 先述の地の利や、比較的低廉に抑えられた着陸料が奏功して、国際線は名古屋空港の現状の週250便に上乗せして260便以上、国内線はそのままスライドして1日約100便が就航する見込みとなっている。国内線の便数は成田や関空に比べて格段に多くなる。

 2001年5月にはCentrair(セントレア)の愛称も決定している。中部(Central Japan)の空港(Airport)との意味であり、鉄道アクセスの柱となる名古屋鉄道の特急列車にも、この愛称が付けられることになった。

(2004年8月号)

 


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:57:03 JST