都市鉄道調査

 都市鉄道調査は、都市政策としての鉄道整備について検討するため、運輸省(現国土交通省)の外郭団体である(財)運輸政策研究機構が主体となって、事業の可能性について採算性や具体的整備方法を調査するもの。期間は1999年度から2000年度にわたり、1999年6月の第1回調査委員会で10の調査対象プロジェクトを決定し、以後、自治体や鉄道事業者を交えたワーキンググループを設置し、調査を行なっている。

 対象のプロジェクトは次のとおり。

 (1) 営団13号線と東急東横線、東急目蒲線と京急空港線の接続…東横線渋谷〜代官山間を地下化し、営団13号線渋谷に接続して相互直通運転を行なう。また、目蒲線と京急空港線を結ぶ短区間の新線を整備。主要ターミナルの混雑や不便解消を図り、埼玉方面からの空港アクセスを改善する。

 (2) 都営浅草線の東京駅乗入れ…日本橋〜宝町間から分岐して東京駅に至る。これにより空港特急の頻発化、速達化を図り、都心から羽田・成田両空港へのアクセスを改善するともに、浅草線を活性化。

 (3) JR東北・高崎・常磐線の東京駅乗入れ…上野〜東京間を線増して、上野止まりである3線の都心アクセスの利便を向上させる。また、同区間の混雑緩和を図る。

 (4) 東海道貨物支線旅客線化…桜木町から鶴見あるいは末広を経て新浜川崎に至り、羽田空港、天王洲から東京テレポートと田町あるいは品川に接続し、東京臨海副都心や羽田空港を介する湾岸鉄道を構成する。多核多圏型の都市構造の形成や京浜臨海部の再編に寄与する。

 (5) 中部国際空港アクセス鉄道の乗継ぎ利便性等の向上…JR・名古屋市交通局・近鉄の名古屋駅と名鉄新名古屋駅、JR・名古屋市交通局の金山駅と名鉄金山駅間の乗継ぎ利便性を向上させ、空港アクセスを強化。

 (6) 阪神西大阪線の延伸…西大阪線終点の西九条から近鉄難波に接続し、相互直通運転。近畿圏東西方向のネットワーク強化と臨海部の再開発促進に効果がある。

なにわ筋線

 (7) なにわ筋線の整備…JR新大阪から既設貨物線を通り、梅田北貨物ヤード付近からなにわ筋を南下、堀江付近で分岐してJR難波と南海汐見橋につなぎ、相互直通運転。新幹線・関西空港連絡も含めた広域ネットワークの利便向上、再開発に効果を発揮。

 (8) 京阪中之島新線の整備…天満橋から分岐して業務中心地の中之島に入り、玉江橋まで。大阪市内の重要な東西軸として整備し、中之島再開発の需要に対応する。

 (9) 西鉄宮地岳線と福岡市交通局の相互直通運転…宮地岳線の貝塚〜香椎間を施設改良し、地下鉄2号線と相互直通運転。香椎周辺の新しい町づくりを円滑に推進し、福岡都心部へのアクセス強化を図る。

 (10) 洞海湾横断鉄道の整備…距離は近いが洞海湾により分断されている戸畑と若松間を海底トンネルで結ぶ。沿線地域への重点サービスをめざす。

(2001年5月号)


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:57:05 JST