Rail−On クラブ

 JR東日本は、11月1日から「Rail-Onカード」と称するクレジットカードの発行と、カード所有者の会員組織化をスタートさせた。対象はレールファンそのものであり、「JR東日本初の公認鉄道ファンクラブ」と位置付けている。

 JR発足後、各社とも重要な営業・販売施策としてカード事業に力を注ぎ、鉄道利用者へのサービスと、それによる利用の確保を進めている。当初、JR東日本は既存クレジット会社との提携をせず、独自の「Viewカード」を発行して駅でのサービスに特化させていた。しかし、一般クレジットカードへの対応を求める声も非常に多く、2000年4月からVISAと提携カード化し、さらに2001年10月1日からは駅窓口等でも一般クレジットカードに対応するなど、サービスを拡大している。これにより、Viewカード会員数は1993年スタート当初の37万人が、現在は160万人となっている。

 このような動きの一方で、すでに成人1人あたりのクレジットカード所有枚数は3枚を超えて飽和状態にあると言われ、新たなカード会員獲得は、かなりの特色とメリットを持たせたものでないと、むずかしくなってきている。Viewカードは、首都圏を中心に日々使う駅で特色を発揮することから有力なカードに成長したが、さらに特定利用者への魅力付けとして、Viewカードのプレミアムカードである「Rail-Onカード」が手がけられた。

 そもそもは、Viewカード入会申込書の趣味記入欄において、「鉄道」 ―選択項目に「鉄道」があるのが鉄道会社らしい― にチェックを入れた人が数万人にのぼることが判明し、立派なカテゴリーを形成していたことが発端だった。

 レールファンは鉄道そのものを目的として旅行に出る機会も多く、JR東日本が手持ちのツール(つまり車両や駅・車両基地)を使ってイベントを仕掛ければ多くの人が足を運び、かつ列車に乗る。そこで、このような顧客層を対象として専用カード会員組織を作り、レールファンならではの動向や好みを見定め、その会員に対して特別企画を用意し、さらなる利用促進につなげようとの意図である。一般の人々がマイカーや航空機に流れる中で好んで鉄道を利用してくれる上得意というわけだ。年間会費はViewカードの500円に対してRail-Onカードは2,000円となっており、差額の1,500円が会報発行費やその通信費にあてられる。

 特別企画には、車両基地公開のさいに一般よりも早く入場を認めるプレビューや、社員訓練センターでのプロ用の運転シミュレーターの体験会、交通博物館で学芸員を交えた交流会、鉄道雑誌の年間購読申込みに対する特典付与などが用意されている。

 ただし、ひと口にレールファンと言っても、乗る、写真、模型、コレクション、交通研究など趣味の対象が幅広いため、現在発表されているプランに限らず、会員のさまざまな意見を汲み上げながらレールファンの志向に応じたプランを取り入れてゆく意向とのこと。また、このRail-Onクラブのプロジェクトに参画する各支社の営業スタッフにも、自他ともに認めるレールファンを選任しているそうで、JR東日本本社営業部によれば、「驚くほど消費者心理をついた企画」が出つつあるという。

(2002年1月号)


Last-modified: Sat, 24 Oct 2009 20:56:33 JST