T−1グランプリ †T-1グランプリは、JR西日本がおもに首都圏で展開する西日本エリアに向けた観光誘致キャンペーン「DISCOVER WEST」の一環として、2003年8月1日にスタートさせたJR西日本鉄道全線の乗車をめざす企画。「チャレンジ!T-1グランプリ 5000km」がフル名称。「T」はTrain、Travel、Tetsudo、Tabiなどの頭文字で、「1」にはそのナンバー1をめざすという意味を込める。「F-1グランプリ」にかけた言葉と見ることもできる。 JR西日本の鉄道線は全51線区で、当初は計5,036.8kmが対象であったが、その後、可部線可部〜三段峡間46.2kmが廃止されたので、現在は4,990.6kmが全対象区間の累計距離となっている。ルールに従って線区を走破するとその走破距離が積み上げられ、距離や乗車線区数に応じてプレゼントが得られる仕組のゲーム性をもたせている。 鉄道趣味において、乗車すること、乗車線区数や乗車距離を伸ばしてゆくことは大きな分野を形成しており、故宮脇俊三氏が国鉄全線に乗車した体験を1978年にユーモアとペーソスあふれる筆致で「時刻表2万キロ」に著したことから、こうした「遊び」があることが広く一般に知れるようになった。それが鉄道の増収に結びつくことから、当時の国鉄(〜JR)は1980年から1990年にかけての10年間、「いい旅チャレンジ20,000km」キャンペーンを展開し、広くブームを巻き起こした。T-1グランプリは、そのJR西日本版として現代的要素を取り入れて展開している。 最初はJR西日本のおもな駅にあるパンフレットを入手したのち、任意の線区に乗車して両端駅などポイントに指定されている駅で写真を撮影し、その線区における全ポイント駅の写真をそろえてキャンペーン事務局に送付する。郵送も可能だが、インターネットを中心としている点が、チャレンジ2万キロ時代には考えられなかった現代的な姿である。 線区を走破するごとにその距離を獲得してゆき、1,000kmごとに認定バッジがプレゼントされ、全51線区を完乗すると「JRマスター」の認定バッジなどが授与される。また、線区ごとに設定されたポイントを加算して一定ポイントに達したり、完乗したさいには抽選によるプレゼントも用意されている。 今回の線区走破キャンペーンで特徴的なことは、前述のようにインターネットを最大限に活用している点である。参加者個々の走破状況を地図やポイント数、距離数などのデータとして公式ホームページにリアルタイムで公開しているほか、同ホームページに任意で自身の旅行記を写真つきで掲示したり、参加者同士で情報交換したりすることも可能。これにらより不特定多数の参加者同士で競うこともでき、新たなゲーム性も加わったといえる。また、JR西日本のホームページとのリンクも張られており、ここに収録された列車や旅の情報にも容易にアクセスできる。 現在までの参加者数は約1,400人。キャンペーン期間は1年8ヵ月間で、2005年3月31日までとなっている。 (2004年6月号)
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